ブログブログ by 友利昴

自分に関する記事を書いたものです。

知財

【検証】アートのド素人が「金魚電話ボックス」事件を語ってみた結果

私は美術館に行くのがかなり好きなのだが、美術的素養がないためアートのことはさっぱり分からない。誰の絵や彫刻を鑑賞しようが、毎回感想はこれである。 「いいねぇ」 これしか言わない。あと「味があるねぇ」。バカの感想だ。以前友人の画家が個展を開い…

【書評】柴大介『IOCファミリーによるオリンピック商標の違法ライセンス問題を考える』(イマジン出版)—問題視すべきは違法ライセンス自体なのか

五輪マークなどのオリンピック関連商標にちょっとでも類似する商標を出願すると、4条1項6号に基づき、その商標出願は拒絶される(下図)。拒絶された出願人の主張はだいたいいつもこうだ。「私の商標は五輪の商標とは類似しないし、出所の混同を生じない」。…

【感想】Re就活 vs リシュ活 商標権侵害事件第1審判決(大阪地裁)《追記アリ》

「Re就活」(学情)vs「リシュ活」(履修履歴活用コンソーシアム)の商標権侵害事件。どちらも就職支援サービスで、「Re就活」が「リシュ活」を商標権侵害であるとして、使用差止と1億円の損害賠償金の支払いを求めた事件だ。大阪地裁は、侵害を認め、使用差…

【検証】知財トラブル報道で「法的な見解は?」と問われた有識者は、どっちの味方をしているのか?

ニュースなんかで、社会問題になっている事象や、不祥事を起こした人が取り上げられたとき、ゲストやVTRで弁護士が登場して「〇〇法に違反する可能性がある」「〇〇万円以下の罰金刑になるおそれがある」などと解説することがある。 それを見るたびに思うの…

商標「LADY GAGA」事件が与えた答え

LADY GAGA事件*1。私の好きな商標の裁判事件のひとつだ。簡単に言うと、レディー・ガガの本人事務所が、日本で「LADY GAGA」をCD等の商品分野で商標登録しようとしたところ、 ・LADY GAGAというのは有名な歌手名である。→歌手名がCD等に表示された場合、それ…

友利昴『知財部という仕事』紹介

友利昴『知財部という仕事』は企業で知財の仕事をしている人をターゲットに絞っている本です。めちゃめちゃ狭いよ。こんなにターゲットを絞った本が他にあるのだろうか?内容は、知財部で働く人々が、周囲のステークホルダーと、良好な関係を維持しながら仕…

「断捨離」で商標権侵害とクレームを受けた場合の反論・対処方法は?〈追記アリ〉

<2023/11/23追記『エセ商標権事件簿―商標ヤクザ・過剰ブランド保護・言葉の独占・商標ゴロ』でも本件を取り上げています。詳細は以下の記事もご覧ください> subarutomori.hatenablog.com 今年の春頃から、コンテンツ内で「断捨離」というキーワードを使っ…

∞×知財(ムゲンチザイ) #2「オリンピック×知財―オリンピックは誰のものか」開会式!

東京オリンピックがいよいよ近づいて来ました。東京五輪のスポンサーは、他の大会よりも異様に多く、街やCMは既にエンブレムだらけであまりプレミアム感がなく、食傷気味という人もいるのでは。しかし、聖火リレーランナー公募をはじめ、そろそろスポンサー…

「任天堂VSマリカー」東京地裁判決について(2)結局、コスプレ衣装レンタルって違法なの?

(2)結局、店内でのコスプレ衣装の提供はやっていいのか悪いのかうやむやになってないか? MARIモビリティ開発は、お客さんにスーパーマリオのキャラクターのコスプレ衣装を貸与して、レンタルカートに乗せてたようです。 これについて、任天堂は、マリオ…

「任天堂VSマリカー」東京地裁判決について(1)「マリカー」は誰の商品等表示?

任天堂が、スーパーマリオのキャラクター達を使ったレンタルカート業者その名も「マリカー」(現・MARIモビリティ開発)を、不正競争防止法違反ならびに著作権法違反で訴えていた裁判、通称「マリカー事件」。その地裁判決が先日出まして、判決文(PDF)を読み…

『よくわかる音楽著作権ビジネス』安藤和宏教授インタビュー

ロングセラー『よくわかる音楽著作権ビジネス』などの著者がある、東洋大学法学部教授の安藤和宏さんのインタビューをしてきました。 実は安藤さんの『よくわかる音楽著作権ビジネス』は、私が知財の仕事に興味を持つきっかけになった本でした。一時期、私は…

「みんなのもの」を商標登録してしまう人々

『へんな商標』の本とか書いておいて言うのもなんですがー、商標出願情報へのアクセスが容易になる中、定期的に他人の商標出願が話題になりますね。「なんでこんな商標を…?」という程度の興味本位の話題、報道でしかないんですが、商標出願は、通常商品の発…

「TOKYO 2020」を許可なしに使ったら商標権侵害か?

「TOKYO 2020」という言葉を許諾なしで使ったピンバッジを販売した愛知県の男が、商標法違反の疑いで逮捕された。容疑者は「『TOKYO 2020』が商標だとは思わなかった」と容疑を否認しているという。 www.sankei.com 知的財産権侵害で逮捕される人は、「『○○…

大学でアンブッシュ・マーケティングに関する講義をしてきました

1月10日には大学の法律の授業でゲスト講師をやることになっていたので、3が日過ぎた後は、一旦ウーピー・ゴールドバーグの事は忘れてその準備をしたりしていました。ここ最近研究している、オリンピックの権利保護とアンブッシュ・マーケティングについて講…

音や色の商標を出願したことを自分で言いふらす戦略はアリなのか?

音や色彩などの「新しいタイプの商標」は、普通の文字やロゴの商標とは異なり、登録するためには長年の使用実績や著名性等が求められることが多い。裏を返せば、登録されれば著名性や高い認知度の裏付けとなるため、「ブランド力の証明とPR」を目的として、…

本当に著作権侵害か?『ハイスコアガール』事件(スクウェアエニックス)

押切蓮介『ハイスコアガール』(スクウェアエニックス)を読んでいるんですが、この漫画に関し、ちょうど以下のような事件報道がなされています。スクエニ社員と漫画作者ら16人書類送検 他社のゲームキャラ無断使用で(産経WEST) 『餓狼伝説』などのゲー…

アンブッシュマーケティングとは何か? 本当に違法なのか?

アンブッシュ・マーケティングという言葉をご存じだろうか。マーケティング用語における「アンブッシュ」とは、あるブランドが広告・広報活動を活発に展開するのを待ち伏せし、あたかもそのブランドと何らかの結びつきがあるかのようにふるまうマーケティン…

新語・流行語大賞と商標問題

「2013年ユーキャン新語・流行語大賞」が発表されました。今年は流行語がめちゃめちゃ豊作だなーと思っていましたが、ふたを開けてみると「今でしょ!」「お・も・て・な・し」「じぇじぇじぇ」「倍返し」が大賞を同時受賞。納得の布陣です。 実は今年はどう…

言われる側が、弱過ぎないかな。最近。

知財部門で働いていると、盗用や権利侵害を主張する警告やクレームは日常茶飯事ですが、根拠がない言いがかりレベルのものも少なくありません。そういうトラブルをいかにきれいに収めるかは我々の腕の見せ所なので、事業部門や創作者には、後ろめたい事がな…

普通名称化との戦いと配慮

この間仕事で、ある出版社の、事典を作っている編集部にお邪魔したんですよ。そこで話の流れで「事典に対して何かクレームとかあるんですか?」って話になりまして。それで興味深かったのが、「企業の人から『その単語はうちの登録商標だから、辞書に載せる…

和解してくれてホッとした!「白い恋人VS面白い恋人」裁判

ここ数年で最も注目していた裁判が、和解で終結した。「白い恋人」のパロディ商品として、よしもとクリエイティブ・エージェンシーが企画開発した「面白い恋人」が、本家「白い恋人」の石屋製菓から、商標権侵害や不正競争防止法違反で訴えられた裁判だ。 両…

商標から見るタブー表現~「へんな商標?」ボツネタ集2~

80年代末期、「黒人差別表現問題」が騒がれて、絵本の「ちびくろさんぼ」をはじめ、漫画やマスコットから、いわゆるステレオタイプな黒人表現が一気に消え去ったことがありました。その当時、企業の商標にも「黒人」をあしらったものがいくつかありました。…

音楽業界の商標トラブル~「へんな商標?」ボツネタ集1~

音楽業界には、意外にへんな商標&へんな商標トラブルが多いんです。ムッシュ吉崎が、かつての相方である高音パートの田中雅之が「クリスタルキング」を名乗ることを親の仇の如く憎悪し、10年以上も前の「ルックルックこんにちは」で田中が発したコメント一…