「日本女性の多数が、ヨーロッパやその他の外国人と同棲し、売春婦としての手当を受けている」
これは、1842年発行の『ブリタニカ百科事典(第7版)』に載っていた「日本」の項からの一文だ。これは、ヒドイ!ブリタニカ百科事典といえば、18世紀から現在まで(現在は電子版のみ)発行が続く、権威ある大百科事典だ。それがアンサイクロペディア並みのバカ解説に陥っているとはどういうことか。
ここまでの誤解こそすでに存在していないが、外国人にとって日本の象徴のひとつである「ゲイシャ」には、いまだに売春や、単にエロいイメージがまとわりついている。ゲイシャを描いた欧米の大衆文化は、『SAYURI』『八月十五夜の茶屋』などの映画から、クィーンの『キラー・クィーン』に至るまで多いが、いずれも売春的イメージから抜け出せていない。
この誤解の発端はどこにあるのか?
『日本人はなぜ「黒ブチ丸メガネ」なのか』第三章「サムライ・ゲイシャ・ニンジャの今昔」では、そんな謎を解き明かしております。
この他、江戸時代から現在に至るまで、乱高下し続けるサムライのイメージ変遷、「いまアメリカはニンジャがいっぱい!」とまで評された全米ニンジャ・ブームのトンデモなさに至るまで、ここは調べてて&書いてて非常に楽しかった(笑)。
当初、『ミュータント・ニンジャ・タートルズ』などのニンジャヒーローがいかにヘンを書いていたところ、イラストの近藤ゆたかさんから、「それなら、赤影や日本の忍者ヒーローの方が先にヘンだった」とのご指摘を頂き、確かにそうだ!と実に納得。さらにはゲイシャ関連の資料DVDを送って頂いたり、近藤さんがイラストを描かれた『Ninja Attack!外国人のための忍者常識マニュアル』を参考にさせて頂いたり、本稿、近藤さんにはずいぶん助けて頂きました。
繰り返しになっちゃうけど、
- 150年の間にコロコロ印象が変わるサムライ。
- ゲイシャと娼婦が混同された経緯。
- 間違いだらけの全米ニンジャ・ブーム。
それが本章の見どころです!
日本人はなぜ「黒ブチ丸メガネ」なのか (空想科学文庫)
友利 昴 近藤ゆたか
(英文版) 外国人のための忍者常識マニュアル - Ninja Attack !: True Tales of Assassins, Samurai, and Outlaws
Hiroko Yoda Matt Alt 依田寛子 マット・アルト Yutaka Kondo
燃えよNINJA HDニューマスター版 [Blu-ray]