ブログブログ by 友利昴

自分に関する記事を書いたものです。

普通名称化との戦いと配慮

この間仕事で、ある出版社の、事典を作っている編集部にお邪魔したんですよ。そこで話の流れで「事典に対して何かクレームとかあるんですか?」って話になりまして。それで興味深かったのが、「企業の人から『その単語はうちの登録商標だから、辞書に載せるなら【商標】って但し書きをつけてくれ。普通名称だと思われたら困る』って言われることがたまにあるねぇ」という話でした。そういう事ホントにやってるとこあるんだ~思ってしまった。

でもこれクレームの仕方は難しいよなぁ。登録商標を普通名称のように使うことは、別に違法なことでもないし、使う側の悪気もない。高圧的に「記述を削除せよ」なんて言われたら、「なんでそんなこと言われなきゃなんないんだ!」ってキレますよフツー。「ちょっとお願いしますよ~」「じゃあ次回から気をつけます~」ってとこではないでしょうか。

実は今、新刊『それどんな商品だよ! 本当にあったへんな商標』という本を書いているんですが、文中で便器の話をするくだりがあって、そこに《ウォシュレット》という言葉を使いたかったんですよ。それで悩みまして。《ウォシュレット》は、実はTOTO登録商標なんですよ。それで適切な言い換えは「温水洗浄便座」だっていうんです。……結構、分かりにくいなーと思って。別に直す義理もないんですけど、でも配慮しようかなーと思って、結局、「温水洗浄便座」にしましたよ。TOTOさん、気を遣いましたよ!(誰も知らんでしょうけど)

それにしても、《ウォシュレット》ってすごいネーミングだなーと思う。ウォッシュ+トイレットでしょ?由来は。フツー「トイレット」の「レット」の方を採るか!?と思うんですよ。他の人は全員「トイレ」と略してるのに。とはいえ、《トイレウォッシュ》じゃただのトイレ掃除みたいだしなぁ。うーん。まぁ、ここまで浸透した実績を考えても、やっぱり《ウォシュレット》が正解だったんでしょうね。

それどんな商品だよ! 本当にあったへんな商標 (文庫ぎんが堂)
友利昴 和田ラヂヲ
4781670970


世界一のトイレ ウォシュレット開発物語 (朝日新書)
林 良祐
4022734159