この間うちにチワワの子犬が来まして。しばらく預かっていたんだけどめちゃくちゃ可愛い！ 犬や猫を飼っている人が写真を撮りまくって人に見せまくる気持ちが痛いほど分かりました！ 抗えないよこれは！ チワワを飼う生活というのもいいなぁ。
ところで今、押切蓮介『ハイスコアガール』（スクウェアエニックス）という漫画を読んでいるんですが、この漫画に関し、ちょうど以下のような事件報道がなされています。
スクエニ社員と漫画作者ら１６人書類送検 他社のゲームキャラ無断使用で（産経WEST）
『餓狼伝説』などのゲームの著作権を持つSNKプレイモアが、ゲームのキャラクター等を漫画に勝手に使われ、著作権侵害だ！ として、8月に刑事告訴していた件だ。僕はこの事件をきっかけにこの作品に興味を持ったんだけど（そういう人結構いると思う）、その頃から漫画は自主的に出荷停止されていた。
買えない、読めないとなると、どこがどういう風に問題なのか考えることもできないから、報道の影響でなんとなく「スクエニの脇が甘くて使用許諾を取らずに著作権侵害しちゃったんだろうなー」という印象になってしまいがちだ。
僕は借りて1～3巻まで読んだんだけど、いやいや、著作権上問題とまでは言えないんじゃないかという印象を持った。少なくとも自信を持って訴えられるような問題ではない。あと、そもそも訴えるような事か…っていう。この漫画でSNKのゲームが紹介されることで、SNKが得することはあれど、損することなんかないのでは…とも思った。まぁ、何事もそうだけど、報道や伝聞だけで安易に判断するのはやはり絶対よくないね。
「ゲームのキャラクターを勝手に漫画に～」というから、てっきり昔の『ストⅡ爆笑!!4コマギャグ外伝』みたいな、ゲームキャラが漫画のキャラクターとして登場する類の漫画だと思ってたんですよ。しかし読むとそうではなくて、ゲーム好きの小中生がゲームを通して友情やら愛情やらを育むというストーリーだった（一部、主人公の思い入れの強い『ストⅡ』のガイル少佐は、主人公の気持ちを代弁するなどキャラとして活躍してるんだけど、カプコンらには許諾を得ていたというから問題ナシ）。
SNKの著作物に関しては、主人公たちがゲームをプレイするシーンや、ゲームに言及するシーンで、コマの一部にゲームのプレイ画面やタイトル画面が描かれる、という使われ方がほとんどなのだ。その再現度は結構荒く、大抵は不鮮明で小さい。1コマの中の一部に描かれているわけだから、まぁどうしてもそうなるだろう。
著作物の「複製」の成立要件として、元のゲームの本質的な特徴（思想、感情の創作的な表現部分）が再現されている事が求められる。作品に形式的に他人の著作物が含まれていたとしても、不鮮明すぎたり、小さすぎたりした場合は、著作権侵害にならない場合もあるのだ。何十ページある漫画の中の一コマの中に小さく不鮮明に再現されたゲームの部分的な画面が、果たしてこの要件を満たすのかというと、疑問である。
福井健策弁護士も、9月のインタビューで「そもそも複製にあたるのか疑問な箇所も少なくない」と指摘している。インタビューではさらっとおっしゃってるが、多分上記のような趣旨なのではないかと思う。
一方、福井弁護士、同じインタビューで「ゲームの一連のプレイ画面をかなりはっきり再現している箇所もあり、これならば『複製』『翻案』にあたる可能性が高いように思えます」とも指摘し、4巻のあるページを例に出している。そうか～。4巻、読めてないんだよな～。4巻手に入らないんだよな～。なお、その上で「（漫画の）性質から考えると、ゲーム画面の利用が『引用』として許される可能性は否定できません」とも指摘されている。
スクウェアエニックスは、SNKに対して、著作権侵害不存在の確認訴訟も起こしており、争う姿勢だ。
ただ、ひとつ間違いなく言えることは、仮に、著作権侵害が認定されるようなことがあっても、「このコマとこのコマとこのコマがダメ」程度の話であって、漫画作品全体がお蔵入りになるようなことにはならないということ。『ハイスコアガール』自体は、遅かれ早かれまた買えるようになるでしょう。普段読まないタイプの漫画なんだけど、事件きっかけで読んでみたらすごく面白かったんですよ。早く続きが読みたいですね。
（追記）
その後、2015年8月にSNKプレイモアとスクエニらは和解し、2016年から単行本も新装版として再出荷。2018年7月にアニメ化もされた。
放課後ディストラクション(CDS)
やくしまるえつこ 
ハイスコアガール ＣＯＮＴＩＮＵＥ 1巻 ハイスコアガールＣＯＮＴＩＮＵＥ (デジタル版ビッグガンガンコミックスSUPER)
押切蓮介 
ハイスコアガール(9) (ビッグガンガンコミックススーパー)
押切蓮介 
