ブログブログ by 友利昴

自分に関する記事を書いたものです。

友利昴『知財部という仕事』紹介

私の書く本は、基本的に、そのテーマに興味のある人であれば広く一般に読んでもらえるように書くことを心がけているんですが、この『知財部という仕事』は例外です。

企業で知財の仕事をしている人をターゲットに絞っている本です。めちゃめちゃ狭いよ。ここまでニッチな本が他にあるのだろうか?

内容は、知財部で働く人々が、周囲のステークホルダーと、良好な関係を維持しながら仕事で成果を出すにはどうすればいいのか?を、100のケーススタディ形式で論じるものになっています。

ここでいうステークホルダーというのは、例えば、上司や部下、社内の開発部門や事業部門、経営者、共同開発先や業務委託先、企画会社やデザイナー、競合他社、模倣業者、特許事務所や法律事務所といった、仕事上のあらゆる関係者です。

四の五の言うより内容を紹介しましょう。

知財部という仕事

知財担当者なら震える事態ですね。

知財部という仕事

人が考えていることだもの。同じ時期に他人が同じことを考えてることもあるよ。

知財部という仕事

無断使用してしまった~。終わりだ~。社会的に抹殺される~。からのリカバー術とは?

知財部という仕事

いつの時代も、「パクられ妄想」に憑りつかれてとんでもない行動に出る輩がいます。

知財部という仕事

発明ありませんか~?紙に書いて提出してください~?で発掘できるほど、発明発掘は甘くない!

知財部という仕事

ゴミみたいな知的財産権、同業者にはバレてます!

知財部という仕事

「リスクを取れ!」とカッコつけて、トラブルに突っ込んで責任を取らない人、階段から落ちてくれ。

知財部という仕事

8千円くらいで出願できると思われているぞ!

知財部という仕事

「バレなきゃいいじゃん」が一定の支持を集めるのは、実際にバレにくい権利侵害があるから。しかし……?

知財部という仕事

公開公報になって初めて気づくとは!ナメられてるぞ!

知財部という仕事

「先生、これって侵害になりますか?」としか言わないとこうなる。

知財部という仕事 産学連携 事業化断念

大学教授陣と、会社の研究者、事業担当者のテンションが違い過ぎる……!

知財部という仕事 下請法

出願しちゃえよ!創作者だろ!

知財部という仕事 法務部 契約交渉 同席

契約交渉話がこじれるのは、本当は誰のせい?

泥臭いですねぇ。でもこういった泥臭い仕事こそ、知財部の仕事の本懐だと筆者は考えます。もともとは、『発明 THE INVENTION』(発明推進協会)という知財専門誌の知財部さん、いらっしゃ~い。―企業知財担当者のためのコミュニケーション術―」(川守田昴という別名義での連載)という連載を、加筆修正のうえ一冊にまとめたものです。

この連載、スタートが2010年1月号ですから、気付けば10年以上続いてしまった。なんと7月20日発売号の週刊少年ジャンプで8年半の連載を経て最終回を迎えることで話題の『ハイキュー!!』より長い!(まぁ実際こっちは月刊連載なので全然違うけど)

広く一般に読んで欲しいという本では全然ありませんが、知財担当者を置いている企業には一社一冊あっても損はない内容になっていると思います。

また、特許・法律事務所などの知財サービスの業界にとっては、普段はなかなかうかがい知ることの難しい、クライアントの論理、クライアントの事情が推し量れる貴重な資料になるのではないでしょうか?

友利昴『知財部という仕事』(発明推進協会)

友利昴 知財部という仕事

知財部という仕事』目次はこちら↓↓↓

 【第1章】トラブル発生!知恵を絞って切り抜けろ
Q1.先行特許へ抵触発覚!「設計変更はイヤだ!」という現場をどう説得する?
Q2.「いいから生産に入れ!」侵害可能性を無視した命令にどう対処する?
Q3.外注デザインから生じる著作権トラブルをどう防ぐ?
Q4.侵害者はお取引先!?どうやって侵害を止めさせよう?
Q5.攻撃的な権利者の度を越えたクレームはどこまで気にすべき?
Q6.知財部のミスで見逃した権利侵害に気付いた!そのときどうする?
Q7.「予算は出せぬが模倣品はなんとかせい!」その時とんちだ!?
Q8.「技術を盗んだ」「偶然の一致だ」不毛な争いはどう収める?
Q9.侵害リスクを指摘すると「今から仕様変更は無理!」どう切り返す?
Q10.知的財産権の使用許諾交渉で足元を見られないためには?
Q11. 役員トップダウン製品に侵害リスクが!報告しづらい、どうしよう……。
Q12.公募デザインの著作者が「やっぱり使わないで欲しい」。どう説得する?
Q13.頭に血が上った状態で書く警告書は恥ずかしい?
Q14.「YESかNOか、5日以内に答えろ!」と警告されたらどう返事する?
Q15.無断使用してしまった画像の事後承諾を上手に取る方法とは?
Q16.法律文書に上手に感情をにじませると、審査官のハートはつかめる?
Q17.見本市で模倣品を見つけたらどう行動する?
Q18.「パクられたよ妄想」の警告書を受け取ったときの対処法
Q19.権利侵害と警告を受けた!勝ち目がないときの謝り方とは?
Q20.調査時には未公開だった特許出願に抵触しているかも?どう切り抜ける?
Q21.ネット上で「気軽に」権利侵害を行う他人にどう注意すればいい?
Q22.自社商品にネット上で「パクリ疑惑」が!どう対応する?
Q23.全然似てない競合品を「なんとかして!」といわれたらどうする?

【第2章】社内の人間関係は悲喜こもごも!
Q24.「常に至急」で仕事を押し付けてくる事業部に困った!
Q25.侵害リスクを指摘して「社長案件だぞ!」と突き返されたらどうする?
Q26.「このくらいなら大丈夫ッスよね?」というヘラヘラ質問にどう対応する?
Q27.出願件数を増やすことがノルマだと思っている上司へ一言いってやりたい!
Q28.新製品情報をペラペラしゃべる社長に「新規性喪失」を教えたい!
Q29.背景の分からない「イキナリ系質問」にはどう答える?
Q30.勝手に発明者の名義を乗っ取る課長をどう戒める?
Q31.新入社員研修でつまらない話をして嫌われたくない!
Q32.新入社員研修でウケを狙おうとすると、大体スベるのはなぜ?
Q33.意に沿わず知財部に配属されて落ち込んでいる新人。どう発破をかける?
Q34.役員が「○○社の商品はパクリじゃないか!訴えろ!」どうなだめる?
Q35.弁理士試験勉強のため残業をセーブしたい!周囲の理解を得るには?
Q36.連休前に仕事のボールをぶつけ合う悲しい戦争を終わらせたい!
Q37.年末の「今年中になんとかして!」から逃げて穏やかに過ごすには?
Q38.電話会議、テレビ会議に慣れない!どうすればいい?
Q39.上司と考え方が合わなくてやりたいことができない。どうする?
Q40.知財の専門用語を分かりやすく伝えるテクニック
Q41.「多分問題ないと思うんですが~」の前置きで相談してくる人ってなんなの?
Q42.こんな商品売れるかぁ?そんな企画に知財パーソンとしてどう向き合う?
Q43.出願3日前に同一商標が他人に出願されていた!社内にどう説明する?
Q44.要領だけはいい部下。細かい点にこだわる要領が悪い部下。どう指導する?
Q45.突然社長から持ちかけられた「特許相談」にどう応じる?
Q46.【学者気取り】「嫌われる知財パーソン」にならないためには?【予防線満載】
Q47.知財部の予算を増やしてほしい!どうアピールする?
Q48.「終わらない会議」を早く終わらせるテクニックとは?

【第3章】知財の源泉!研究開発・事業部門との付き合い方
Q49.自信満々の発明者に「特許性がありません」と伝えるのがツラい……
Q50.発明発掘ヒアリングをしても大した話が出てこない! どうリアクションする?
Q51.「弱い権利」にしかならない出願依頼に、どう応える?
Q52.代理人の評価が「侵害可能性は五分五分」。そんなことをいわれても!
Q53.権利化に現場部門がなかなか協力してくれないのは誰のせい?
Q54.「ウチの発明報奨金、少なくない?」と発明者からいわれたらどうする?
Q55.発明発掘ヒアリングをしても「特にないなぁ」。どうすれば発明を引き出せる?
Q56.「侵害です!」「なんとかならないか!?」不毛なやり取りはもうたくさん!
Q57.先行商品をまねする癖のある社員、どう諭す?
Q58.侵害するかしないか微妙な案件。こんなとき「リスクを取る」べきか?
Q59.「えっ、そんなに出願費用かかるの!?」といわせないためには
Q60.公表までに出願が間に合わない!どうすればいい?
Q61.「何となく」で年金納付? 知的財産権の断捨離の心がけとは?
Q62.「その特許打ち切っちゃうの!?」踏み止まらせるには?
Q63.溜まっている不使用商標の有効活用をどう促す?
Q64.権利侵害は「バレなきゃリスクはゼロ」という意見にどう応える?
Q65.「ダメモトでいいから出願してみてよ!」にはどう応じればいい?
Q66.商標法の範疇外の表示に関する相談、知財部で受けていい?
Q67.法律相談に答えるとき、かえって相談者を不安にさせてしまう……
Q68.拒絶理由にすぐ屈してしまう発明者のやる気を引き出したい!
Q69.事業化が見込めない発明は、出願する?しない?
Q70.研究開発部門に非特許文献調査を気持ちよく手伝ってもらうには?
Q71.商標調査でNG連発!知財部は商標考案にどこまで関与すべきか?
Q72.年度末!ノルマ達成目的の駆け込み出願依頼を抑制するには?
Q73.法的に正しい助言をしても、社内から信頼されないのはなぜ?

【第4章】法律では解決できない?取引先との関係!
Q74.取引先からの断りにくい要望を、どう断る?
Q75.共同発明がいつの間にか単独名義で出願されていた!どう落とし前をつける?
Q76.共同発明のつもりが、発明者と見なされていなかった!どう認めさせる?
Q77.SNSを使ったPRで、知財コンプライアンスはどこまで意識すべき?
Q78.代理人に法律相談をしてもスッキリした答えがもらえないのはなぜ?
Q79.期待していた書面と違う!弁護士との意思疎通のミスマッチをなくすには?
Q80.産学連携で共同出願した発明の事業化を断念!大学にどう説明しよう……
Q81.部材の納品後に「非侵害保証」を要求されたときの切り抜け方とは?
Q82.非侵害保証を渋る部材メーカーとどう交渉すればいい?
Q83.「商標をバンド名に使っていい?」お客様からの仰天要求をどう断る?
Q84.発注元の大企業に企画や技術を盗まれないようにするにはどうすればいい?
Q85.受託で創作した意匠を、発注元に嫌われずに出願するには?
Q86.相性のいい特許事務所はどうやって探せばいい?
Q87.他社の知財部員とは、どこまで情報交換が許されるのか?
Q88.セミナー後の懇親会で会話が続かない!
Q89.弁護士・弁理士との接待飲み会をするときの心がけとは?
Q90.「業界慣習ですから」と不合理な条件を突き付けられたらどうする?
Q91.英語が話せないのに海外の代理人と打ち合わせをすることになった!
Q92.追求するのは学究か商売か?産学連携の溝を埋めるには?
Q93.大学教授と合意した共同研究開発条件と、大学の方針が食い違ったら?
Q94.全然知らない人から知的財産権の売り込みが!どう対応する?
Q95.弁護士に相談にいっても、相談内容のニュアンスがうまく伝わらない……
Q96.弁護士との顧問契約を打ち切りたい……どう切り出す?
Q97.「御社の類似品をつくっても大丈夫ですか?」仰天相談にどう応じる?
Q98.代理人の書いた意見書の内容がイマイチ!?どう指摘する?
Q99.知財部は契約交渉会議に同席すべき?すべきでない?

【終章に代えて】
Q100.知財部が社内でプレゼンスを高めるにはどうすればいい?