先日、発明推進協会で「企業知財担当者のためのコミュニケーション術―知財担当者が周囲とウマくやりながら成果を出すための実践的ノウハウ」というセミナーをやって来ました。昨年刊行した『知財部という仕事』をベースとしたセミナーです。コロナ禍の時世で、例によってオンラインですが、発明推進協会のライブ配信講座は、かなり配信環境、配信設備が整っており、大変やりやすかったです。
しかしコロナ禍で、セミナーの形はずいぶん変わりました。もともと講師をするのは好きなんですが、スケジュールがなかなか取れないのでそんなにたくさんはお受けしてないんです。でも2020年はもともと東京五輪の予定があったので、『オリンピックVS便乗商法—まやかしの知的財産に忖度する社会への警鐘』をもとにした、オリンピック絡みのセミナーがたくさん入るだろうと身構えてたんです。実際、2019年はそのテーマでの引き合いがずいぶんありました。やったセミナーは、オープン形式のものは以下に記していますので見てみてください。
ところがコロナ禍になってしまって、2020年は概ねキャンセル。オリンピック自体も延期になりました。後半くらいになると、もう対面セミナーをキャンセルし続けるのではなく、オンラインでやろうという機運が高まってきて、20年後半から2021年にかけて依頼を受けたものは、ほとんどオンラインでやりました。このうち、知財実務オンラインで行ったセミナーはアーカイブが誰でも見られますので、どんな感じか見てみてください。
講師をやる方は、多分、大体皆さんそうじゃないかと思うんですけど、やっぱり受講者の目の前で、対面が一番いいですね。「顔を見て話さないと、どうしても淡々としゃべってしまう」という方が多いようですが、私の場合は、相手の顔を直接見て話さないと、どんどん自分で突っ走ってしまう笑。独演会になっちゃうんだよな。
ただ——これは奇しくも先日のセミナーでも自分で話したことですが——コロナ禍のコミュニケーションに悩む人が多いわけですが、「早くコロナが終わればまたみんな会社に集まれるんだから、今は上手くいかなくてもしょうがないな」などと言ってちゃダメなんですね。コミュニケーションの取り方も、研修のやり方も、ニューノーマルの時代に合わせてアップデートしなくてはいけないのです。
だから配信でも、きちんと受講者の心に響くようなセミナーができるように精進しないといけません。先ほど一人でしゃべっているとテンションが上がってしまうと書きましたが、ただでさえ集中力が途切れがちなウェビナーなんだから、よりテンション高めの方がいいんじゃないか?と思って、敢えてテンションが上がるがままにしているフシもあるんですよね。
ただその結果、ヤバい泡沫候補の政見放送みたいになってはいないかというのが心配です笑。10度、20度、30度!スマイル!そんなことはやっていませんがー。
そうじゃなくて、あらかじめつくった原稿を読み上げるくらいのやり方で、努めて冷静に理路整然と話した方が、集中して話を頭に入れてもらえるような気もしますね。そう、ちゃんとした政見放送のように……。(完)
友利昴『知財部という仕事』(発明推進協会)
友利昴『オリンピックVS便乗商法—まやかしの知的財産に忖度する社会への警鐘』(作品社)