ブログブログ by 友利昴

自分に関する記事を書いたものです。

日本知財学会 ブランド経営分科会「エセ商標権事件簿から『言葉の独占』問題を考える」

今度、日本知財学会・ブランド経営分科会で「エセ商標権事件簿から『言葉の独占』問題を考える」と題する講演を行うことになりました。

  • 日時:2024年3月19日(火曜)18:00~20:00
  • 形式:オンライン(Zoom)
  • 対象:一般参加OK!
  • 参加費:無料!

といった次第です。『エセ商標権事件簿』を実務家向けに敷き直し、実務上の教訓になるような内容で構成するつもりです。

エセ商標権事件簿 友利昴

文字列や図形、図柄などは、商標登録しておけばいかなる場面でも独占できるのか? 権利者以外はいかなる場面でも使えなくなってしまうのか? 違いますよね。

そんな効果は商標権にはない、ということは、実務家なら誰でも分かっていることだと思います。しかしながら、実務家であっても、いざある文字列などが他社によって商標登録されているという事実を目にすると「使わない方が無難なのではないか……」などと臆してしまうことは珍しくありません。また、自分が商標登録した言葉などについて、いかなる場面でも独占できるような錯覚に陥ってしまうこともあります。

実務家、専門家であっても、エセ商標権に幻惑されることもあれば、いつの間にかエセ商標権を振り回してしまうことがあるのです。

そうした状況を避けるためには、過去の豊富な実例を分析し、よく陥りがちなエセ商標権の類型を知り、エセ商標権者の行動パターンを知り、そしてなぜ、これらの権利行使がエセ、つまり無効なのかを自分の中に落とし込むことです。

そうしたコンセプトのもと、今回、エセ商標権を4つのケースに分類して、講義とディスカッションで「言葉の独占」問題を考えていきたいと思います!

そう、エセをエセと見抜けないと、商標権を使いこなすことは難しいのです。

お申し込みは、日本知財学会のウェブサイトから!申し込み締め切りは3月17日(日曜日)までです。お早めにどうそ!

あわせて、先日インタビュー記事「【しくじり先生】対談!エセ商標権事件簿には知財実務の学びがたくさんあった!【ぽっちゃり熟女】」がToreru Mediaで公開されました。是非こちらも読んでみてください。

toreru.jp

友利昴『エセ商標権事件簿―商標ヤクザ・過剰ブランド保護・言葉の独占・商標ゴロ』(パブリブ)

エセ商標権事件簿 友利昴

『エセ著作権事件簿』―第4刷発行に寄せて

『エセ著作権事件簿―著作権ヤクザ・パクられ妄想・著作権厨・トレパク冤罪』。ようやく、第4刷の出荷が開始されました。実は1ヶ月前くらいから在庫が切れてしまい、注文を受けても出荷できない状態でしたが、やっとご注文頂ける状態です。新刊の姉妹本『エセ商標権事件簿―商標ヤクザ・過剰ブランド保護・言葉の独占・商標ゴロ』とやっとセットでお買い求めいただけるようになりました。

法律書トリックスターとして世に出た本ではありますが、ついに4刷!!ここまで来たらもはや著作権の定番書を目指したいところです。「過剰権利主張」「エセ著作権という、誰もが「これっておかしいぞ」と薄々感じていた問題を、しっかりと言語化してロジカルに、皮肉も込めてまとめ上げたのがよかったのかなと、今にして思っています。

エセ著作権事件簿 感想 友利昴

「刊行以降、エセ著作権者が敗訴する判決が続出!」とチラシには載せてもらいましたが、本当にそうです。目立って増えたのは、例えばスザンナホビーズ *1(編み物著作権事件/控訴審結賀さとる *2(テメーちゃんと300万払ったか?)幾原邦彦監督にトレパク冤罪をふっかけた個人女囲碁将棋チャンネル *3日本将棋連盟の舎弟かキミは?)のように、YouTubeSNSなどで、パクられた、トレパクされた、著作権侵害だなどと騒ぎ立てたり、軽率に侵害通報したことが、逆に訴えられ、名誉毀損や信用毀損が認定されるという事件です。被害者ぶってたつもりが「お前の方こそ加害者だバカタレ」と裁判所から烙印を押されたわけです。

また、これを著作権事件と括るにはあまりにも結果が残酷で、躊躇はあるものの、ある意味では史上最悪のエセ著作権事件ともいえる京アニ放火殺人事件の被告・青葉真司にも死刑判決が出ましたね。社会にとって妥当な「表現の独占と自由利用のバランス」についてほんの少しも想像せず、もちろん著作権の知識もなく、自分が考えたことを他人が表現していることが許せないというあまりにも幼稚な発想で、何の罪もないクリエイターに一方的な恨みを募らせることが、いかに愚かで、社会にとって害悪か。その象徴のような事件です。

『エセ著作権事件簿』は、豊富な実例から、エセ著作権者の身勝手な言いがかりの欺瞞を暴き、荒唐無稽な主張を笑い飛ばすという本ですが、それを通して、正しい著作権リテラシーが少しでも広まり、不幸なエセ著作権事件が少しでも減ればいいなと思って書いた本です。

残念ながら、エセ著作権事件・騒動は減る気配はないですが、救いとしては「エセ著作権」という概念がかなり社会に浸透したことです。安易に騒ぐ輩がいても、「エセ著作権だろ」「言いがかりだろ」という冷静で理知的なツッコミが入るし、安易な拡散や報道も、以前よりは減った気がします。知識人や報道機関はこういう問題を軽率に取り上げない方がいい。

もはや、被害者ムーブをかましていればみんなが味方してくれるなんて時代は終焉したのでしょう。それでも悪目立ちしたり、裁判所に引きずり出されてカッコ悪く敗訴したら、また『エセ著作権事件簿』にも書かれちゃうぞ!

友利昴『エセ著作権事件簿―著作権ヤクザ・パクられ妄想・著作権厨・トレパク冤罪』(パブリブ)

エセ著作権事件簿 友利昴

友利昴『エセ商標権事件簿―商標ヤクザ・過剰ブランド保護・言葉の独占・商標ゴロ』(パブリブ)

エセ商標権事件簿 友利昴

*1:阪高裁令和4年(ネ)265,599号

*2:東京地裁令和2年(ワ)25439号、令和3年(ワ)1631号

*3:大阪地裁令和4年(ワ)11394号

【大解剖!】友利昴『エセ商標権事件簿―商標ヤクザ・過剰ブランド保護・言葉の独占・商標ゴロ』

まず近況ですが、『職場の著作権対応100の法則』を刊行以来、この本のコンセプト、つまり「なんでもダメと言わない、どうすればいいかを考えるヒントを教えてほしい」というオーダーで著作権に関する講演などの依頼をこなしております。日本商標協会、知財実務情報Lab.、図書館総合展、発明推進協会と、続いております。身ひとつでやっているもので、スケジュールの都合でお受けできないことも、ちょくちょくあって申し訳ないのですが、機会あれば聞きに来てください!

その傍らで新刊を書いていた。どおりで忙しいはずだよ。ということで、新刊『エセ商標権事件簿―商標ヤクザ・過剰ブランド保護・言葉の独占・商標ゴロ』(パブリブ)が12月15日頃に発売になります。『エセ著作権事件簿―著作権ヤクザ・パクられ妄想・著作権厨・トレパク冤罪』のシリーズ第2弾です。

友利昴 エセ商標権事件簿
  今回もLINEスタンプでお馴染みのひよこが存在感を放っています!
あの人たちの茶番劇をまとめて断捨離!!

store.line.me

制作プロセスを明かすと、実は原稿の半分は『エセ著作権事件簿』のときに書いていました。当初同書では、商標系のトンデモ事件も著作権と合わせて掲載するつもりでいたのです。ところが、著作権だけでトンデモ事件がかなり集まってしまった。そこで『エセ著作権事件簿』は著作権オンリーにして、「商標編」は機会を改めようということになったのです。その後、新たに書き足し、既に書いていた原稿もリライトを重ねた結果、今回も500ページ近いボリュームになってしまいました。書くのは大変でしたが、読者にとっては読み応えがあると思います。

内容は、ゆっくり茶番劇事件、断捨離事件、阪神優勝事件、銃夢ハンドル事件など、世間を騒がせた商標トンデモ事件を詳細解説・一刀両断し、面白い恋人事件、フランク三浦事件など報道で話題となった事件のその後の顛末を追いかけ、ルイ・ヴィトン、グッチ、クリスチャン・ルブタン、アップルなどの一流ブランドによる行き過ぎた「商標いじめ」問題を告発し、トンデモであると同時に法学・実務上の重要裁判例でもある小僧寿し事件、函館新聞事件、ELLEGARDEN事件、正露丸事件などを独自視点で批評しています。

さらに、純粋に商標権のみが争点となった事件だけでなく、関連・周辺領域として、不正競争防止法パブリシティ権、シンボルマークやデザインに関する著作権事件も数多く収録しています。書くの大変よ本当に。

ある意味、商標権ほど誤解されている権利はないでしょう。「商標登録さえ押さえておけばその言葉は自分のモノだ」とカン違いしているエセ商標権者がいかに多いか。つい先日も楽天・三木谷氏がAIの公開カンファレンスに出てAI-nizationというコンセプトをぶち上げて、「商標を取ろうと思っている」などと言っていましたが、「AI化」程度の「コンセプト名」を独占しようしてもねぇ。商標取ったところで上手くはいかんでしょうね。そういうヤツらの自信満々の鼻ッ面をへし折り、「商標登録された言葉は使っちゃいけないのかも」という無用の不安、無知のビビりに踊らされている人々を救う役割も担っていると思います、この『エセ商標権事件簿』は。

パブリブの紹介文「『エセ商標権事件簿』は、はた迷惑な商標ゴロを一掃し、一部の一流ブランドの行き過ぎたブランド保護活動に再考を促し、また手前勝手で無知な個人の暴走を踏みとどまらせる、抑⽌効果も⽬的としています」と書いてもらったのですが、まさにそういう思いですよ。

『エセ著作権事件簿』同様、すぐに手に入りにくくなる可能性があります。極力、早めに予約して確実にゲットしてもらえたら嬉しいです。お楽しみに!!

 

以下、気になる目次、取り上げる事件名を一挙大公開!

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