『エセ著作権事件簿―著作権ヤクザ・パクられ妄想・著作権厨・トレパク冤罪』。ようやく、第4刷の出荷が開始されました。実は1ヶ月前くらいから在庫が切れてしまい、注文を受けても出荷できない状態でしたが、やっとご注文頂ける状態です。新刊の姉妹本『エセ商標権事件簿―商標ヤクザ・過剰ブランド保護・言葉の独占・商標ゴロ』とやっとセットでお買い求めいただけるようになりました。
法律書のトリックスターとして世に出た本ではありますが、ついに4刷!!ここまで来たらもはや著作権の定番書を目指したいところです。「過剰権利主張」「エセ著作権」という、誰もが「これっておかしいぞ」と薄々感じていた問題を、しっかりと言語化してロジカルに、皮肉も込めてまとめ上げたのがよかったのかなと、今にして思っています。
「刊行以降、エセ著作権者が敗訴する判決が続出!」とチラシには載せてもらいましたが、本当にそうです。目立って増えたのは、例えばスザンナホビーズ *1(編み物著作権事件/控訴審)、結賀さとる *2(テメーちゃんと300万払ったか?)、幾原邦彦監督にトレパク冤罪をふっかけた個人女、囲碁将棋チャンネル *3(日本将棋連盟の舎弟かキミは?)のように、YouTubeやSNSなどで、パクられた、トレパクされた、著作権侵害だなどと騒ぎ立てたり、軽率に侵害通報したことが、逆に訴えられ、名誉毀損や信用毀損が認定されるという事件です。被害者ぶってたつもりが「お前の方こそ加害者だバカタレ」と裁判所から烙印を押されたわけです。
また、これを著作権事件と括るにはあまりにも結果が残酷で、躊躇はあるものの、ある意味では史上最悪のエセ著作権事件ともいえる京アニ放火殺人事件の被告・青葉真司にも死刑判決が出ましたね。社会にとって妥当な「表現の独占と自由利用のバランス」についてほんの少しも想像せず、もちろん著作権の知識もなく、自分が考えたことを他人が表現していることが許せないというあまりにも幼稚な発想で、何の罪もないクリエイターに一方的な恨みを募らせることが、いかに愚かで、社会にとって害悪か。その象徴のような事件です。
『エセ著作権事件簿』は、豊富な実例から、エセ著作権者の身勝手な言いがかりの欺瞞を暴き、荒唐無稽な主張を笑い飛ばすという本ですが、それを通して、正しい著作権リテラシーが少しでも広まり、不幸なエセ著作権事件が少しでも減ればいいなと思って書いた本です。
残念ながら、エセ著作権事件・騒動は減る気配はないですが、救いとしては「エセ著作権」という概念がかなり社会に浸透したことです。安易に騒ぐ輩がいても、「エセ著作権だろ」「言いがかりだろ」という冷静で理知的なツッコミが入るし、安易な拡散や報道も、以前よりは減った気がします。知識人や報道機関はこういう問題を軽率に取り上げない方がいい。
もはや、被害者ムーブをかましていればみんなが味方してくれるなんて時代は終焉したのでしょう。それでも悪目立ちしたり、裁判所に引きずり出されてカッコ悪く敗訴したら、また『エセ著作権事件簿』にも書かれちゃうぞ!
友利昴『エセ著作権事件簿―著作権ヤクザ・パクられ妄想・著作権厨・トレパク冤罪』(パブリブ)
友利昴『エセ商標権事件簿―商標ヤクザ・過剰ブランド保護・言葉の独占・商標ゴロ』(パブリブ)