まず近況ですが、『職場の著作権対応100の法則』を刊行以来、この本のコンセプト、つまり「なんでもダメと言わない、どうすればいいかを考えるヒントを教えてほしい」というオーダーで著作権に関する講演などの依頼をこなしております。日本商標協会、知財実務情報Lab.、図書館総合展、発明推進協会と、続いております。身ひとつでやっているもので、スケジュールの都合でお受けできないことも、ちょくちょくあって申し訳ないのですが、機会あれば聞きに来てください!
その傍らで新刊を書いていた。どおりで忙しいはずだよ。ということで、新刊『エセ商標権事件簿―商標ヤクザ・過剰ブランド保護・言葉の独占・商標ゴロ』(パブリブ)が12月15日頃に発売になります。『エセ著作権事件簿―著作権ヤクザ・パクられ妄想・著作権厨・トレパク冤罪』のシリーズ第2弾です。
制作プロセスを明かすと、実は原稿の半分は『エセ著作権事件簿』のときに書いていました。当初同書では、商標系のトンデモ事件も著作権と合わせて掲載するつもりでいたのです。ところが、著作権だけでトンデモ事件がかなり集まってしまった。そこで『エセ著作権事件簿』は著作権オンリーにして、「商標編」は機会を改めようということになったのです。その後、新たに書き足し、既に書いていた原稿もリライトを重ねた結果、今回も500ページ近いボリュームになってしまいました。書くのは大変でしたが、読者にとっては読み応えがあると思います。
内容は、ゆっくり茶番劇事件、断捨離事件、阪神優勝事件、銃夢ハンドル事件など、世間を騒がせた商標トンデモ事件を詳細解説・一刀両断し、面白い恋人事件、フランク三浦事件など報道で話題となった事件のその後の顛末を追いかけ、ルイ・ヴィトン、グッチ、クリスチャン・ルブタン、アップルなどの一流ブランドによる行き過ぎた「商標いじめ」問題を告発し、トンデモであると同時に法学・実務上の重要裁判例でもある小僧寿し事件、函館新聞事件、ELLEGARDEN事件、正露丸事件などを独自視点で批評しています。
さらに、純粋に商標権のみが争点となった事件だけでなく、関連・周辺領域として、不正競争防止法、パブリシティ権、シンボルマークやデザインに関する著作権事件も数多く収録しています。書くの大変よ本当に。
ある意味、商標権ほど誤解されている権利はないでしょう。「商標登録さえ押さえておけばその言葉は自分のモノだ」とカン違いしているエセ商標権者がいかに多いか。つい先日も楽天・三木谷氏がAIの公開カンファレンスに出てAI-nizationというコンセプトをぶち上げて、「商標を取ろうと思っている」などと言っていましたが、「AI化」程度の「コンセプト名」を独占しようしてもねぇ。商標取ったところで上手くはいかんでしょうね。そういうヤツらの自信満々の鼻ッ面をへし折り、「商標登録された言葉は使っちゃいけないのかも」という無用の不安、無知のビビりに踊らされている人々を救う役割も担っていると思います、この『エセ商標権事件簿』は。
パブリブの紹介文に「『エセ商標権事件簿』は、はた迷惑な商標ゴロを一掃し、一部の一流ブランドの行き過ぎたブランド保護活動に再考を促し、また手前勝手で無知な個人の暴走を踏みとどまらせる、抑⽌効果も⽬的としています」と書いてもらったのですが、まさにそういう思いですよ。
『エセ著作権事件簿』同様、すぐに手に入りにくくなる可能性があります。極力、早めに予約して確実にゲットしてもらえたら嬉しいです。お楽しみに!!
以下、気になる目次、取り上げる事件名を一挙大公開!
第1章 困惑!商標モンスターの大暴走
ポケモンにも容赦なし!稀代のモンスタークレーマーは今日も連敗中
無意味過ぎる高性能CPUがやらかす盛大なリソースのムダ使い!
ロボットの股下にもクレーム!?地元企業にケンカを売る暴走タワー!
東京スカイツリー事件
疑心暗鬼で敗訴まで突っ走る!パチンコ嫌いのロック歌手が大暴走!
矢沢永吉パチンコ事件
浅ましい!あの文豪の息子たちがエセ商標権で世間から軽蔑される!
夏目漱石事件
血は争えないのか!? 夏目漱石の曾孫がエセ商標権で大暴走!
第二・夏目漱石事件
謝罪もできない!? 言葉狩りを目論むエセ商標権者は断捨離だ!
断捨離事件
オリジナルでもない!断捨離独占をたくらむ主張が全否定される!
第二・断捨離事件
コラム①「みんなのもの」を商標登録しようとする困った人々 その1
ポリー・ハッターって誰!? 裁判では止められないメガネ少年大集合!
ターニャ・グロッターと魔法のコントラバス事件
シャレが全然通じない!パロディを理解しないカタブツ社長の大暴走
面白い恋人事件
これは悪い夢なのか?はまちと熟女がバナナを巡って法廷闘争!
朝バナナダイエット事件
大目玉を喰らわせろ!「世界観」の独占を試みる身勝手な芸術家の暴挙
目玉アートの世界観事件
呪われているのか!? エセ商標・エセ著作権につけ狙われたネズミくん
マウスくん事件
コラム②「みんなもの」を商標登録しようとする困った人々 その2
第2章 当惑!あの人の意外な独占欲
ファンはSHOCK! メンバー間の憎悪渦巻く粘着質な商標バトル!
クリスタルキング事件
そんなにキレるか?往年のアイドルが示したパブリシティ権の限界!
ピンク・レディーdeダイエット事件
悪魔が来たりてイチャモンクレーム!子供番組にネチネチ詰問!
ねこねこ日本史事件
博士の異常な愛情!? 頑なに帽子を取らぬ博士は人の帽子を脱がせるか?
さかなクンの帽子事件
ありふれた名前の独占を試みる歌姫とおもちゃメーカーのムダな争い!
MISIA事件
作者の著作権よりも広告クライアントのご機嫌取りをしていいのか!?
カルピス・アルプス事件
タイ王国激怒!ヨガトレーナーの軽率な商標登録が外交問題に発展!
ルーシーダットン事件
器が小さ過ぎる!元同僚のプロフィールに理不尽訴訟しもちろん敗訴!
第二・ルーシーダットン事件
コラム③ エセ商標権ならぬ珍商標大集合!
仏ブランドのムチャクチャな言いがかりに日本のロックバンドが完勝!
ELLEGARDEN 事件
あわやモノマネ四天王がエセ商標権の標的に!? 出版社は自己犠牲!
グッチ裕三事件
あの大ヒット曲はアップルのテーマソング?世界のりんごは俺のもの!
似ているが違法ではない!出版社はクレームから著者を守るべきでは?
やせるおかずの作りおき事件
二本も四本も「三本」だ!? 稀代のとんち野郎の独占欲をどこまで認める?
アディダス三本線事件
ポケモンに言いがかり!スプーン曲げ能力者が事実を捻じ曲げまくる!
ユンゲラー事件
もっと考えて名付けんかい!被って当然の社名が被って訴えるも敗訴!
ビジネスサポート事件
ベストセラー本の出版社は、チーズをどこまで独占できるのか?
バターはどこへ溶けた?事件
コラム④ 一流ブランドは何をきっかけに「商標いじめ」を開始する?
第3章 騙されるな!商標権に万能の力はない
悪銭身に付かず!「阪神優勝」を商標登録して虎党を敵に回した男の末路!
阪神優勝事件
とんだ茶番!ユーチューバーの浅知恵が引き起こした騒動で大迷惑!
ゆっくり茶番劇事件
なぜそんなにエラそうなのか!? 高名漫画家が無実の若者に改名を迫る!
銃夢ハンドル事件
漫画での商標使用。得意先のお気持ちにどこまで「配慮」すべきか?
Bamily Mart事件
なぜキレる?まったく異なる業種の同名企業を許せない設計会社の敗訴!
ANOWA事件
イタリア料理界を敵に回す、エセ商標権者の暴走は俺が止める!
エノテカ事件
ストレッチトレーナーを名乗れるのはオレだけ!強欲トレーナーの敗訴
ストレッチトレーナー事件
殴られっぱなしでいいのか!? 市民の税金を怪しい商標に差し出す罪
ボクササイズ事件
コラム⑤商標ライセンスで一攫千金は可能なのか?
怪し過ぎる!ヒーリング能力者がドコモにエセ商標権を売りつける!
携帯電話マナーマーク事件
受話器マーク事件
安易な和解が禍根を残す!この物語に登場する宝石は一万円です!?
天使の卵事件
他愛のないパロディにメーカーはマジギレ!出版社は平謝り!
Kurobo事件
泥酔してなきゃ間違えないよ!似てない競合品にイチャモン敗訴
お酒によく合うポテトサラダ事件
不正競争はそっちでは!? 原料名の独占を目論む缶詰会社の大恥
大羽いわし事件
コラム⑥ 日本で最初のエセ商標権事件とは?
第4章 エセ商標権に立ち向かう知恵と勇気!
市松模様の独占をたくらむ巨大ブランドに日本の中小企業が反撃!
市松模様の数珠袋事件
歴史的偉業!? パロディ商標はなぜ本家に勝訴できたのか?
フランク三浦事件
原作者を差し置いて!そのキャラ名、本当にあなたのものですか?
メリー・ポピンズ事件
下剋上!日本のV系アーティストがロック・レジェンドに逆転勝利!
ザ・ローリング・ストーンズ ベロマーク事件
靴底の色彩は独占できるか?一流ブランド同士が赤い靴狩りで対決
クリスチャン・ルブタン事件
あっぱれ!埼玉の中小企業がフランスの一流ブランドに完勝!
第二・クリスチャン・ルブタン事件
コラム⑦ エセ著作権者に今日も反省の色無し~スザンナホビーズ事件(Susanna’sHobbies)~
巨額請求訴訟をふっかけるも敗訴!キューピーおじさん大暴走!
キューピー人形事件
こじつけでは!? 丸が三つ並んでいるだけでミッキーマウスといえるのか?
逆さミッキーマウス事件
宣伝費用と訴訟費用のムダ!? 普通名称は五〇年経っても普通名称
正露丸事件
ただの数字だ!薄いコンドームを弱い商標で独占できるのか!?
0.02コンドーム事件
コラム⑧ エセ商標権被害を開陳して逆に訴えられた人々
敗訴なのだが!? イケてる風ネット広告会社の虚飾をはがせ!
売れるネット広告事件
これぞ商標ヤクザ!寿司屋にカネをしつこくせびった挙げ句に敗訴!
小僧寿し事件
最悪!エセ商標で営業妨害を仕掛けた大新聞社が失った信用と二億円
函館新聞事件
友利昴『エセ商標権事件簿―商標ヤクザ・過剰ブランド保護・言葉の独占・商標ゴロ』(パブリブ)