ブログブログ by 友利昴

自分に関する記事を書いたものです。

重版御礼『エセ著作権事件簿』の書評・感想まとめ大特集!

『エセ著作権事件簿—著作権ヤクザ・パクられ妄想・著作権厨・トレパク冤罪』ですが、8月9日から、重版分の出荷が始まっているはずです。引き続きよろしくお願いいたします。

読者から、結構気合の入ったご書評、ご感想を頂くこともしばしばです。特に、作家、編集者、ユーチューバーやミュージシャン、ゲーム関係者など、クリエイターやその関係者からの熱い共感のお声を頂いております。著作権は誰にとっても身近な問題であり、エセ著作権に対抗する術が欲されていることを実感しました。今日は、頂いたご書評、ご感想をまとめてみましょう。

note.com

「サンプリングやオマージュといった手法を多用する我々の業界において『エセ著作権事件簿』に載せられている事件は他人事とは思えず、読んでいてハラハラする」
「ピックアップされているケースを読むと、今更ながら『なるほど!』と思えることが多く、我々のような業界に居る人間にとって必要な知識が一気に得られる」
「文章が読みやすくて面白く、どんな人でも気負いせずに楽しみながら読める。著作権に関する知識が疎くても、ピックアップされている事件の仰天さには正直笑ってしまう部分も多い」

www.teinai.work

「軽妙な語り口調とはウラハラに綿密に裏どりされていて、読み応え抜群」
著作権を知らずに著作権を声高に叫んでいて、言われた方も著作権を知らないもんだから『すみませんでした』ってなって、どんどん日本の著作権への理解がおかしくなって『著作権主張したもん勝ち』みたいになったんだなぁとしみじみ」
「なんとなく知ってるけど結局どうなったん?という著作権騒動を取り上げたものも多く、興味深く読めます」

cs-condo.net

「これだけ力を入れて多くの事件が取り上げられていて税込2750円は実質無料と言っても過言ではないほど充実しています」
「もしかすると証拠にも目を通しておられるかもしれないというほど取材が緻密です」

voicy.jp

「編集、出版にかかわる全ての人にとって必読。学ぶべきことの多い、目から鱗の本」
「”業界の常識”を覆す判例が数多く紹介されている」
「ひとつひとつのケースが読み物として実に面白い」
「社会や報道の在り方について考え直すことも促す本」

blog.livedoor.jp

「ネットでも一時期、話題になった著作権に関わる事件のその後は意外と追究していなかったことが多く、顛末がしっかり書かれているのがありがたかった」
「クレーマーに対しては『まずは「エセ著作権事件簿」を買って読め、話はそれからだ!』でいいような気がしてきました」

note.com

「本書に通底するのは、『似ている/似ていない』といった単純な対立構造で事件を検証していないということだ」

「人の心への想像力をもって、持論を展開されるご姿勢は、別のご著書『オリンピックvs便乗商法』と変わらず好感の持てるもの」

「『それは著作権侵害である/侵害ではない』という主張が、強者の論理や妄想といった、弱い立場への想像力や知性を欠いた考えにとらわれている場合もあるということだ。そして本書はそれをつまびらかにしてみせてくれている」

また、ツイッターFacebookなどでも多数ご感想ありがとうございます。嬉しかったのは空想科学研究所の近藤隆史所長。

近藤さんとお仕事ご一緒し、ご指導頂いたのはもう結構前ですが、見守って下さり本当に感謝であります。

それからこちらもとても嬉しかったのですが、本書で取り上げた『完全自殺マニア』事件でエセ著作権訴訟の被害者となられた、同書著者の相田くひをさんのご感想。当事者になると、エセ著作権とはいえ、ご心労がかなりあったと思います。その当事者から面白いと言って頂けたことに、安堵するとともに、とても光栄に思いました。

あと、参考にした著作権本などを書かれた著名な法学者の方などにもお送りしたのですが、リップサービスかもしれませんが過分なご評価のお言葉をかけていただいており、感謝感謝です。今後ともよろしくお願いいたします。

友利昴『エセ著作権事件簿―著作権ヤクザ・パクられ妄想・著作権厨・トレパク冤罪』(パブリブ)

友利昴『エセ著作権事件簿―著作権ヤクザ・パクられ妄想・著作権厨・トレパク冤罪』(パブリブ)

エセ著作権事件簿 友利昴

重版御礼『エセ著作権事件簿』の試し読み特集!

『エセ著作権事件簿—著作権ヤクザ・パクられ妄想・著作権厨・トレパク冤罪』ですが、想定以上にご好評頂き、在庫がない、届くのに時間がかかるなど、入手しにくい状況が続きました。置いてあるところにはあるので、ご興味のむきは探してみてください。ということで、おかげさまで大反響重版をすることになりました。ご指導くださった編集者の濱崎さんや、読んで下さった皆さんのおかげです。

エセ著作権事件簿

本の概要や目次は前回の記事を読んでいただくとして、今回は、『エセ著作権事件簿』の中から一部を試し読みとして、著者自ら、一言コメントを添えて本文冒頭部を掲載したいと思います。それでは、行ってみましょう。

56頁「プールの底のミッキーマウス事件」
私自身、これは都市伝説の類で「いくらなんでもディズニーがそこまでしないだろう」とずっと思っていたのですが、本稿のために調べたら本当にやっていた(笑)。しかも同時期、米国でもディズニー本社が託児所のミッキーマウスに抗議していたというのだから、これはもう、当時「ジャリどもに著作権の恐怖を植え付けよう!」という経営方針でもあったのではなかろうかと疑ってしまう。しかも、さまざまな事実関係を総合すると、これはエセ著作権の行使だったと結論づけることができるのである。

エセ著作権事件簿試し読み ミッキーマウス プール

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友利昴『エセ著作権事件簿—著作権ヤクザ・パクられ妄想・著作権厨・トレパク冤罪』セルフライナーノーツ

新刊『エセ著作権事件簿—著作権ヤクザ・パクられ妄想・著作権厨・トレパク冤罪』を7月に発売することになりました。友利昴として10冊めの単行本になります。

友利昴 エセ著作権事件簿

著作権を大切に」という日本人の常識的な順法精神につけこんで、善良な市民の正当な表現行為に対して、不当なイチャモンや妄想をふっかけたトンデモ事件や、著作権者」側が敗訴した著作権にまつわる裁判例、合計71事件を集めて徹底批評するという内容です。

1事件あたり3千~5千文字くらいで批評しているので、なんと全体で30万字以上、544頁になってしまった。書き過ぎじゃない?内容的には非常に充実していると思います。

よくある判例評釈のように、裁判所の判断の解説中心ではなく、ムチャクチャなクレームや間違ったロジックで突っ走ってしまった、古今東西の「エセ著作権者」たちの思考回路や心理状態を分析し、言動の矛盾や、筋の通らなさを丁寧にツッコんでいった本です。

結果として、「人間とはこんなにも自分勝手になれるのか……」という驚きや可笑しさを味わえると思います。そして最終的に、裁判所がどういうロジックで無理筋な主張をバッサリと切ったかについても解説しています。

執筆に際しては、極力、争いの対象となった著作物の現物を入手し、実際に目で見て、手に取って分析しました。そして、それら素材を含む合計200点以上の図版を引用し、それ以外にも文章の引用も豊富です。結果として、クレーマーや原告たちが何をそんなに問題視したのか、それは果たしてそんなに問題視すべきことなのかが、読者に分かりやすく伝わるようになっていると思います。裁判事件でも、公表された判決文には写真が掲載されていないことがあるので、もしかすると、著作権法の学者や研究者でも、あまり見た事のない写真が載っているかもしれませんよ。

ママの胸よりチャイルドシート 友利昴 エセ著作権事件簿

『エセ著作権事件簿』298頁「チャイルドシート標語事件」

執筆過程ではさまざまなドラマがありましたが、一番はなんといってもこれですね。執筆途中に、なんと版元のパブリブが著作権トラブルに巻き込まれてしまった(笑)そのこともしっかり書いており、本書の見どころのひとつになっています。たくまし過ぎるな~。

友利昴 エセ著作権事件簿

『エセ著作権事件簿』264頁「どえらいモン大図鑑事件」
このあとどうなる!?

前書きと目次全文は版元ドットコムに掲載されていますので、どういう思いで書いたのかはそちらも見てみてください。版元の初告知ページはこちらですのでそちらも見てみてください。

www.hanmoto.com

publibjp.com

そして、本記事の後半以下にも目次を転載し、いくつかについては、それに著者のひと口コメントを添えてみました。

単純に笑えるトンデモ事件簿としても読めますし、同時に著作権の玄人筋が読んでも、新たな発見や気づきがあると思います。『知財部という仕事』 などで鳴らした、実際にエセ著作権トラブルに巻き込まれてしまったときの対応ノウハウや心構えについてのコラムも充実しており、あらゆるクリエイターがエセ著作権被害から身を守るための実用的指南書でもあります。7月11日から順次発売ですが、クレーマーを扱っているがゆえに、いつ何が起こるか分かりません(笑)。早めに予約した方がいいですね! 以下目次です!

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【書評】京野哲也(編)『Q&A若手弁護士からの相談203問』(日本加除出版)—”ちゃんと”答えてるのがすごい

最近の私ですが、この1、2ヶ月ほど、毎週何かしらの作業の締め切りが来ており、おかげさまで忙しくしています。ひとつBUSINESS & LAWで「法務知財・本音のアウトロー事件簿」という連載を始めたんですが、それに際し、ずっと読みたかったんだけど読めてなかった本を読んだのですがこれが面白かった。

(編)京野哲也『Q&A若手弁護士からの相談203問』(日本加除出版)である。以下目次の通り、企業等の組織で起こり得る、対応に苦慮しそうなトラブル203件に関する法的なQ&A集だ。

若手弁護士からの相談203問

若手弁護士からの相談203問

まず質問のチョイス。生々し過ぎて外部に相談しにくかったり、現代的過ぎてお手本がなかったり、経験則での対処や、場当たり的な対応をしがちなトラブルばかりを選んでいる。エッジが効いている。そしてこれらの問いに対し、極力、多方面の法令や判例に基づいて解説したうえで、どう行動すべきかをなるべくハッキリと答えているのがいい。この手の問題については、解説書自体が少ないし、あったとしても「結局のところケースバイケース」か、あるいはエクスキューズ満載で「つまり、どうしたらいいのよ」となりがちなところ、ちゃんと「答え」を出している本書は珍しいし誠実だと思う。

もちろん、こういう問いばかりだから、必ずしも法律で最終解が出せるとは限らない。そういう「答え」の中には、「いや、こういう対応もあるのでは……」と言いたくなるものもある。例えば「§150 突然有名になった図柄」では「製品に『緑と黒の市松模様柄』を加えたい」という問いに対し、「慎重に対応すべきです」と答えているが、私なんかは「やや慎重に過ぎるな~」「もう少し事例が蓄積されれば解説も変わると思うな~」なんて思ってしまう。

ただそうした疑問的感想も、本書が全編にわたり、努めて法令ベースで、しかも多角的な観点から充実の解説をしているがゆえに、読者としても法的根拠が薄い……というかどうしたって薄くならざるを得ない記述については、自然と自分の頭で答えを考えさせられているからこそだと思う。本書に法的思考を訓練させられてるのである。

203問の中には、みなさんも身近や周囲で見聞きしたことや、体験したトラブルが必ずあるはずだ。そこから読んでみるといいと思います。ちなみに私は、「§14 行方不明になった従業員の退職手続」「§24 社内のケンカ沙汰にどう対応するか」「§25 社内不倫にどう対応するか」「§99 従業員の給与が差し押さえられた」あたりを熟読しました。いや修羅の国で働いているんかい、私は。

ちなみに読みたかったけど躊躇していたというのは、読む前に、コンセプト的に自分が書いてる「知財部さんいらっしゃい」(『発明THE INVENTION』の連載で『知財部という仕事』として単行本化)とか、冒頭の「本音のアウトロー事件簿」とカブりそうだなー。あんまり読まない方がいいのかなーと気にしていたからである。気にし過ぎて思い切って著者のおひとりのronnorさんに相談してしまったくらい。

だけど読んでみたら余計な心配でした。なぜなら私の前記記事には、ほとんど法令や判例の話が出てこないから(笑)。いや威張って言うことではありませんがね。もっと早く読めばよかったです。

(編)京野哲也『Q&A若手弁護士からの相談203問』(日本加除出版)

友利昴『知財部という仕事』(発明推進協会)

businessandlaw.jp